腰痛のはなし
ヘルニアは手術!?

腰痛といえばヘルニア。正式名称を、「椎間板ヘルニア」といいます。簡単に言えば、背骨の一つ一つの間に挟まっている、クッションの役目をしている椎間板が、なんらかの原因で傷つき、膨隆し、進行すると中身である、髄核が飛び出して、腰の神経を圧迫して、脚などに、痛みやしびれを起こす病気です。病院に行けば、まずはレントゲン、さらにCT、MRIと検査は進んでいきます。その結果しだいで、治療法が決められていきます。治療法の選択肢は大きく言って、手術・ブロック注射・牽引の3つが挙げられます。この中で果たしてどの治療法が良いのでしょうか?

手術はまず、そのリスクを考えなくてはなりません。腰椎の前側を通っている腹大動脈が、動脈硬化を起こし、しかも、動脈瘤があり、腰椎と癒着を起こしていると、手術の際、これを引っ張り、傷つけて、大出血を起こし、命を落とすこともあります。また、手術した椎間板はその機能をほとんど失ってしまうので、動かなくなってしまいます。すると、その上下の椎間板にそのツケが回ってしまい、結果、手術した上下の椎間板の劣化が進み、第2のヘルニアが出来る下地が出来上がってしまいます。また、手術前と後で、症状があまり変わらないこともあります。これは、後で書きますが、その症状の原因が、椎間板にはなかったということを意味しています。しかも、手術中に、神経を傷つけてしまうこともあり、かえって症状を悪化させてしまうこともあります。

次にブロック注射ですが、これは決して治療とはいえない治療法です。簡単に言えば、麻酔をかけて、痛みの感覚だけを麻痺させることを目的としています。ということは、腰の状態はまったく変わることはなく、逆に、痛みがない分、生活や仕事に制限がかからないので、かえって病気を悪化させ、治りづらくなり、手術へと進む結果になるでしょう。

3番目の牽引ですが、まず問題なのは、あまりにも大雑把に引っ張っているだけなので、問題となっている椎間板に、牽引による「陰圧」がかかる可能性は低く、逆に、腰の筋肉に緊張を生み、腰痛の悪化を招くことになるでしょう。

しかし、実のところ、純粋に、ヘルニアで腰痛が起こっている人というのはごくわずかなのです。しかも、その場合のほとんどは、かなりの重症者なので、すぐに手術の対象になってしまうことでしょう。みなさんが病院で、ヘルニアと診断されても、ほとんどの方は、筋肉の異状や、筋力のアンバランス、背骨や骨盤の歪みに伴う神経の牽引による腰痛や痺れとの勘違いなのです。そこにたまたま椎間板の異状もあった。と、いうだけの話なのです。

なぜ、そんなことが言えるのかといえば、ヘルニアと言われてきた患者さんに手による検査をしてみればすぐに分かることなのです。例えば坐骨神経痛を起こしているひとならば、坐骨神経が通っている筋肉、特に、お尻にある、梨状筋を押してみて、痛みが強くなるようならば、まずは、梨状筋症候群を疑ってみるべきであって、その筋肉の緊張が、神経を圧迫しているために、坐骨神経を牽引してしまい、痛みを起こしてしまうということもあるのです。そして、そんな状態が長く続いて行けば、骨盤から、腰椎の歪みを起こし、椎間板に負担がかかって、変性を起こし、見かけ上、ヘルニアになることも考えられるのです。つまり、事が後先になって病変を作っている可能性もあるわけで、そんなときに手術や牽引などをしても、治る訳はないのです。

しかし、大事なことは、治療ではなく、その予防なのです。ヘルニアは、椎間板の変性があって起こります。変性の原因は2つ。1つは、「使いすぎ」1つは「栄養上の問題」です。
1、使いすぎ

ヘルニアが出来る場所はかなり絞られています。その場所は、第4腰椎と第5腰椎の間の椎間板に最も多く、ついで、第5腰椎と仙骨の間の椎間板に多いのです。なぜでしょう。ヒトは、4つ足をやめて、直立2足歩行を選びました。そのために、背骨にかかる重力は下に行くほど増加してきます。しかも、脳を収めている頭部はとても重く、ボーリングの玉1つ分ぐらいあります。それを、前後左右に揺らしながら、ヒトは歩くのです。その負担は背骨の下に行くほど、累進的に増加していくことでしょう。その負担を軽減するために、ヒトの脊柱は、前後にS字の彎曲を持っています。そうすることで、重力による負担をクッションのように吸収しようというわけです。しかし、これには問題があります。

ヒトの体は、魚と違い、腰に肋骨はありません。ということは、腰では胸と違って、背骨をサポートしてくれる骨格がないのです。つまり、腰は、釣竿のように、しなって体を支えなければならないということです。しかも、肋骨がないということは、それだけ大きな可動性を期待されるわけです。タダでさえ、大きな負担をかけられているにもかかわらず、大きな動きを要求されるのです。椎間板への負担も相当なものになっていることでしょう。このために他の椎間板に比べて、使いすぎが起こり、腰椎の椎間板の変性を起こす原因になるのです。

また、実は腰椎の椎間板の使いすぎを起こすもう一つの原因として、猫背が挙げられます。猫背は胸椎の可動性を減少させ、しかも、背中の筋肉の冷えを起こし、固くしてしまいます。そうなると、胸椎の動きの悪くなってしまった可動分を、頚椎と腰椎で補わなくてはならず、ここでも使いすぎが起き、椎間板の変性を促進してしまうのです。

しかし、腰椎へのサポートがまったくないかといえば、そうでもありません。ヒトは、腹圧を高めることで、腰骨を支えてきたのです。腹圧は腹筋が作ります。が、俗に言う腹筋(直腹筋)は腹圧にはあまり関係していないので、他の方法をとらなくてはなりません。また、腰椎の前には、腸腰筋という、姿勢を維持したり、股関節を曲げたりする筋肉がついていて、しっかりと腰をサポートしているのです。

つまり、腰椎椎間板の使いすぎをなくし、変性を予防するためには、1、腹圧を高める。2、猫背を解消する。3、腸腰筋を鍛える。この3つがが重要となってくるのです。そして、ヘルニアの治療もここに重点がおかれることになるのです。
2、栄養上の問題

椎間板ヘルニアにどうして栄養の問題が関係してくるのかといえば、椎間板が負担に耐えられなくて変性を起こすということは、つまり、椎間板が弱いということですから、これを強化しなくてはなりません。

強化といっても、ヒトの体で、鍛えて強くすることが出来るのは、筋肉と脳だけです。ということは、椎間板は鍛えることは出来ません。しかし、ヒトの組織というものは、常に新陳代謝して、入れ替わっているのです。

皮膚は24日ですべての細胞が入れ替わっていますし、胃の粘膜にいたっては2日で入れ替わりが行われているのです。椎間板も例外ではありません。椎間板も新陳代謝をしているので、今ある組織が変性して弱っているのならば、次に出来る組織をしっかりとした丈夫なものにしていけばいいのです。

新しく組織を作るためにはそのための材料が必要になってきます。その材料はどこから調達してくるのでしょうか?もちろん食事ということになります。そこで、その食事の内容を考えていかなくてはなりません。

椎間板はどんなもので出来ているのでしょうか?椎間板は軟骨組織で出来ています。軟骨成分を分解してみれば、コンドロイチン硫酸・ヒアルロン酸・コラーゲンといった成分になるのです。コンドロイチン硫酸・ヒアルロン酸は糖タンパクで出来ています。この糖タンパクを作るためには、ブドウ糖とたんぱく質、そして、ビタミンAが必要なのです。

そして、たんぱく質も何でもいいというわけではありません。コンドロイチン硫酸の硫酸の部分にはイオウが必要なのです。そのたんぱく質の中には硫黄を含むアミノ酸が必要なのです。しかも、プロテインスコアが100に近い物を取らなくてはなりません。プロテインスコアが100とは、ヒトの体にとってもっとも理想的なたんぱく質ということです。

硫黄を含むアミノ酸を持ち、しかもプロテインスコアが100に近いたんぱく質食品は卵や肉などの動物性の食品しかありません。ということは、菜食主義のヒトや、ダイエットなどで動物性たんぱく質を摂っていないヒトはヘルニアになり易く、しかも治りづらいのです。

コラーゲンもたんぱく質で出来ていますが、この合成の過程で、ビタミンCが必要なのです。特にビタミンCは体のあちこちで必要なので、ビタミンCは大量に摂る必要があります。そうしなくては、椎間板のコラーゲンを作るところまでビタミンCが回って来ないかもしれません。ですから、1日のビタミンCの摂取量は、最低でも、2000〜10000mgつまり、2gから10gは摂る必要があるのです。これだけの量を食品から摂ることは難しいので、サプリメントを有効に活用することをお勧めいたします。